「請求書カード払い」(BIPS)は為替取引に該当しないのか?①

【中央省庁の元法制度担当の弁護士による解説コーナー ~銀行法・資金決済法編~】
[キーワード:請求書カード払い(BIPS)、BPSP、為替取引、資金移動業、クレジットカード、前払式支払手段、収納代行]

 最近、BPSPや「請求書カード払い」(BIPS)という言葉を耳にします。クレジットカード等のキャッシュレス決済手段を導入しない店舗においても、当該キャッシュレス決済手段を使うことができることとなるため、消費者等の利用者にとって利便性の高いものです。
 では、このうち、「請求書カード払い」(BIPS)とはどのようなものなのでしょうか、また「請求書カード払い」(BIPS)を利用するに当たってどのような法的規制が及ぶのでしょうか(特に「為替取引」に該当するものとして、銀行免許や資金移動業者登録等が求められないのでしょうか)、本記事ではその概要についてご紹介します。

(1)「請求書カード払い」(BIPS)とは?

 「請求書カード払い」(BIPS:Business Invoice Payment Service)は、一般社団法人キャッシュレス推進協議会が策定し、2025年12月26日に公表した「請求書カード払い取引ガイドライン」(以下「本GL」といいます。)において定められている概念です。
 本GLでは、「請求書カード払い」の定義が、以下のように規定されています。

請求書カード払い」とは、事業性取引において、商品若しくは権利(以下、「商品等」という)の販売⼜は役務の提供を⾏う者(以下、「サプライヤー」という)から当該商品等の販売⼜は役務の提供を受け、サプライヤーに対し対価の⽀払義務を負う者(以下、「バイヤー」という)からの委託を受け、サプライヤーがバイヤーに対し発⾏した請求書等に基づきサプライヤーへの⽀払を代⾏するとともに、これによりバイヤーに対して取得する求償権について、キャッシュレス決済⼿段による⽀払をバイヤーに提供することをもって、バイヤーのサプライヤーに対する⽀払義務の解消に係る⼿続きを実⾏する役務をいう。(本GL第2条第1項)

 この規定は、以下のように分解することができます。

① 事業性取引において、
② 商品等の販売等を⾏う者(サプライヤー)から当該商品等の販売等を受け、サプライヤーに対し対価の⽀払義務を負う者(バイヤー)からの委託を受け、
③ サプライヤーがバイヤーに対し発⾏した請求書等に基づきサプライヤーへの⽀払を代⾏するとともに、
④ これによりバイヤーに対して取得する求償権について、キャッシュレス決済⼿段による⽀払をバイヤーに提供することをもって、
⑤ バイヤーのサプライヤーに対する⽀払義務の解消に係る⼿続きを実⾏する役務

 そして、このような「請求書カード払い」を行う事業者のことを、本GLでは「BIPS事業者」と呼ばれています。

BIPS 事業者」とは、アクワイアラと請求書カード払いの提供を前提とした加盟店契約を締結し、かつ、顧客とBIPS利⽤契約を締結することで、請求書カード払いを業として⾏う者をいう。(本GL第2条第2項)

(請求書カード払い(BIPS)のイメージ図)

(2)「BPSP」(Business Payment Solution Provider)との違いは?

 もともとは、上記のような「請求書カード払い」のようなサービスについては、「BPSP」(Business Payment Solution Provider)と呼ぶことが一般的でした。ただ、この「BPSP」とは、国際ブランドのVISAが提供するサービス名称であり、一般的な名称ではありませんでした。そのため、本GLでは、一般的な呼称として「請求書カード払い」(BIPS)という名称が採用されたのではないかと思われます。

本記事では、ここまでです。次の記事へ続きます。

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記事作成・監修:弁護士 境 孝也
(なお、本記事は、執筆者が過去に所属・関与し、又は現在所属・関与する組織・機関の見解を記載するものではなく、執筆者の個人的な見解を記載するものです。)

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